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ENTRY MARKETING

マーケティングファネルの作り方|施策ではなく離脱の原因から改善する

マーケティングファネルは、認知・興味・購入という言葉を並べるための図ではありません。顧客がどこで止まり、なぜ次の行動へ進まないのかを見つけ、広告・コンテンツ・サイト・営業連携の改善順を決めるための道具です。自社のデータで使えるファネルの設計方法を解説します。

SEO、広告、SNS、メールなどを運用していても、問い合わせや購入が増えない理由は、施策を個別に見ているだけでは分かりません。アクセスが足りないのか、比較検討に必要な情報が足りないのか、フォームで離脱しているのかを、同じ流れで捉える必要があります。

そこで使えるのがマーケティングファネルです。結論から言うと、ファネルは「認知・興味・購入」という定型の図を作るものではありません。自社にとって重要な顧客行動を順に置き、どの段階で人数が減り、何を改善すべきかを判断するための道具です。

この記事では、Webマーケティングで使えるマーケティングファネルの作り方と、数字を改善につなげる見方を解説します。ECサイト、問い合わせ型のサービスサイト、BtoBサイトのいずれにも応用できる考え方です。

マーケティングファネルとは、顧客数の変化から課題を見つける枠組み

マーケティングファネルとは、商品やサービスを知った人が、比較・検討を経て購入や問い合わせに至るまでの過程を、段階ごとの人数や割合で表す考え方です。「ファネル」は漏斗を意味し、先へ進むほど対象者が絞られる様子を表しています。

たとえば問い合わせ型のWebサイトなら、「サイト訪問 → サービスページ閲覧 → 導入事例閲覧 → フォーム表示 → フォーム送信」という流れで置けます。各段階の人数を比べることで、改善すべき場所を大まかに特定できます。

ただし、ファネルは顧客の行動を単純化したモデルです。実際には、顧客は検索、比較サイト、口コミ、営業担当者との会話などを行き来します。そのため、ファネルだけで顧客の心理まで断定してはいけません。ファネルで「どこに問題がありそうか」を見つけ、必要に応じて顧客へのヒアリング、営業メモ、検索語句、ユーザー行動の確認で理由を深掘りする使い方が実務的です。

マーケティングファネルとカスタマージャーニーは混同されがちですが、役割が異なります。ファネルは「どの段階で人数が減ったか」を見るもの、カスタマージャーニーは「顧客が何を考え、何を不安に思い、どの接点で判断したか」を理解するものです。顧客体験は多様な接点の影響を受けるため、直線的な流れだけで捉え切れないことも指摘されています。LemonとVerhoefによるカスタマージャーニー研究も、複数の接点を通じた顧客体験を整理しています。

BtoBで、複数の関係者が関わる検討プロセスまで整理したい場合は、BtoBカスタマージャーニーの作り方も参考にしてください。

最初に決めるのは「最終成果」と「良い見込み客」の条件です

ファネルを作るとき、最初に「認知」から考え始めると、アクセス数を増やすことが目的になりがちです。先に決めるべきなのは、事業にとって価値がある最終成果です。

ECサイトであれば購入額や粗利、予約サイトであれば来店、BtoBサービスであれば有効商談や受注が最終成果の候補になります。フォーム送信は重要な中間指標ですが、対象外の問い合わせばかり増えても事業成果とは言えません。

たとえばBtoBでは、次のように分けておくと、マーケティングと営業で数字の意味がずれにくくなります。

  • Web上のコンバージョン:問い合わせ、資料請求、デモ予約など
  • 営業が対応する価値があるリード:対象業種、規模、課題、導入時期などが合う問い合わせ
  • 事業成果:商談化、受注、継続契約など

この区別がないまま「問い合わせ数を増やす」ことだけを目標にすると、広告、SEO、フォーム改善の評価が表面的になります。最終成果をすぐ計測できない場合でも、まずは「どの問い合わせなら営業が対応したいか」を営業とすり合わせてください。

顧客像が曖昧な場合は、年齢や役職だけではなく、どんな状況で困り、何と比べ、何を根拠に選ぶかを整理します。詳しくは、Webマーケティングのペルソナ設定で解説しています。

段階は「顧客の行動」と「計測できる事実」で決める

マーケティングファネルの段階に、決まった正解はありません。「認知・興味・比較・購入」という分け方は便利ですが、自社のデータと結び付かなければ改善には使えません。

段階名には、できるだけ観測できる行動を使います。「興味を持った人」ではなく、「サービス詳細を見た人」「料金ページを見た人」「資料請求フォームを表示した人」のように定義します。心理状態を入れたい場合も、行動の根拠とセットにしてください。

段階 問い合わせ型サイトの例 確認したいこと
流入 広告・検索・SNSなどからサイトへ訪問 狙う顧客が来ているか
理解 サービス詳細、課題別ページ、導入事例を閲覧 自社に関係があると判断できたか
検討 料金、比較情報、資料、相談方法を確認 比較や社内説明に必要な情報があるか
行動 フォーム表示、入力開始、送信 問い合わせの障害がないか
営業評価 営業が確認し、有効リード・商談として登録 集客の質が事業に合っているか

段階は多すぎると管理できず、少なすぎると問題の場所が分かりません。最初は、最終成果を含めて4〜6段階程度に絞ると運用しやすいでしょう。重要なのは段階数ではなく、各段階が次の判断に役立つことです。

Google アナリティクス 4(GA4)のファネルデータ探索では、ユーザーがタスクを完了するまでのステップを定義し、各段階の到達状況を確認できます。ステップはイベントやディメンションの条件で定義できるため、先に「どの行動を計測するか」を決める必要があります。設定の考え方は、Google公式のファネルデータ探索の説明も確認してください。

施策をファネルに当てはめるときは、チャネルではなく役割で考える

「SEOは認知、広告は獲得、メールは育成」のように、チャネルを一つの段階に固定すると判断を誤ることがあります。たとえば検索広告は比較検討中の人を集めることもあれば、指名検索で最後の不安を解消する役割になることもあります。SEO記事も、基礎知識を知りたい人向けと、サービス比較をしたい人向けでは役割が違います。

見るべきなのは、施策名ではなく、その施策が顧客の次の行動を助けているかです。段階ごとに、次の3点を確認しましょう。

  • 顧客はこの時点で何を判断したいのか
  • その判断に必要な情報や証拠は何か
  • 次に進むために、どの行動を取りやすくすべきか

たとえば、料金ページまで到達しているのに問い合わせが少ない場合、流入数を増やす前に、料金体系の分かりにくさ、導入条件、他社との違い、社内説明用の資料不足を疑うべきかもしれません。ここで広告予算だけを増やしても、同じ場所で離脱する人数が増える可能性があります。

ファネル分析は「落ちた場所」ではなく「次に確かめる仮説」を決めるために行う

ファネルの数字は、原因そのものではありません。ある段階の通過率が低くても、すぐに「ページのデザインが悪い」「広告の質が低い」と決めつけないことが大切です。

各段階では、次の式で次段階への到達率を確認します。

次段階への到達率 = 次の段階に進んだユーザー数 ÷ 現在の段階に到達したユーザー数

ただし、全体平均だけを見ると原因が混ざります。少なくとも、流入元、デバイス、主要なランディングページ、指名検索か非指名検索かを分けて比べてください。スマートフォンだけでフォーム入力開始後の離脱が多いなら、集客ではなく入力画面の問題を優先して確認できます。

仮のケースとして、ある法人向けサービスサイトで「サービスページ閲覧 → フォーム表示」の到達率が、自然検索では高く、広告流入では低いとします。このときに考えられる仮説は一つではありません。

  • 広告文が約束している内容と、ランディングページの内容が合っていない
  • 広告の検索語句が広すぎて、対象外の人が流入している
  • 広告用ページに、比較検討に必要な導入条件や費用の説明が足りない

ここで行うべきことは、サイト全体を一度に作り替えることではありません。検索語句、広告文、ランディングページの見出し、スクロール後の閲覧先、営業が確認した問い合わせ内容を見比べ、最も確からしい仮説を一つ選びます。そのうえで、訴求、情報の順序、CTA(次の行動を促すボタンやリンク)などを小さく変更し、同じ条件で変化を測ります。

CTAからフォーム送信までの数字を詳しく見たい場合は、CTAの改善方法も役立ちます。

マーケティングファネルを使うときの失敗と注意点

すべてのコンバージョンを同じ価値で集計する

資料請求、採用応募、既存顧客からの連絡、協業相談を一つの「CV」として集計すると、施策の良し悪しが分からなくなります。目的が異なる行動は、別のファネルとして扱うか、少なくとも分類できるように計測・CRM登録を設計しましょう。

通過率だけで良し悪しを決める

通過率が高くても、対象外の問い合わせばかりなら良い状態とは言えません。反対に、高額商材や検討期間が長いサービスでは、フォーム送信率が低くても、商談化率や受注率が高い場合があります。Web上の行動と、営業が確認した結果をつなげて評価することが重要です。

段階を直線的な現実だと考える

顧客は、導入事例を読んだあとに課題解決の記事へ戻ったり、資料を受け取ったあとに競合比較をしたりします。ファネルは、優先的に改善したい行動の流れを切り出すためのものです。一本道の行動を強制する設計図ではありません。

離脱が多い段階を見つけたら、経路分析、ヒートマップ、問い合わせ内容、営業・カスタマーサポートへの質問なども合わせて確認してください。人数の変化と顧客の状況を分けて見ることで、改善案の精度が上がります。

まずは一つの成果に絞って、小さくファネルを作る

最初から全チャネル、全サービス、購入後の継続までを一枚にまとめる必要はありません。対象が広すぎると、数字の意味が薄れます。

まずは「主力サービスへの有効問い合わせ」など、重要な成果を一つ選びます。次に、その成果に至る直前の行動を3〜5個ほど並べ、各行動を測れるか確認してください。その後、直近の一定期間で数字を見て、最も大きな課題ではなく、原因を確かめやすく、改善後の変化を測りやすい課題から着手します。

マーケティングファネルの価値は、立派な図を作ることではありません。広告、コンテンツ、サイト、営業のどこを直すべきかを、共通の数字と顧客理解をもとに話せるようにすることです。施策を増やす前に、顧客が止まっている場所と、その理由を確かめる方法を整えてください。

参考情報

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